この日、重なった一つ目の講座は、
子と私が慕っている、昆虫館の先生の講演会。
これがまた見事に、
佐藤ママとは真逆のような感じの方。
昆虫が大好きで大好きで、ものすごい昆虫マニアで、
生き生きと昆虫の事を語られる方。
昆虫が好きだから、昆虫のことを知るために、どんな投資も努力も厭わない。
まさに、夢をやるために生きていらっしゃるような方。
好きなものにとことんはまって、学ぶ学び方。
やらなければならなくてやるのではなく、
好きすぎてしょうがないから、それに付随する学びも一緒に学ぶ、という学び方。
子が小さい頃、将来、昆虫博士になりたい!と言ったので、
私は、本物の昆虫博士に会いに行って、
それからこの先生の開催される会や講演に足繁く通っていたんだ。
私はこの先生の昆虫を語る時の幸せそうな姿、熱意が、
とても好きなんだ。
高学年になって、子の昆虫熱が冷めてきたので、ここ近々は参加していなかったのだけれども、
このタイミングでこの講座が開催されたのは、
これも、ものすごい意味があったのだと思う。
テーマは、先生が出会った虫の本について。
先生が、子どもの頃、どんな図鑑や本に出逢って、
虫の世界にはまっていったのか、そんな話だった。
それがね。結構マニアックな話で。
先生が熱く語っていらっしゃる熱意は、とてもとても伝わってくるのだけれども、
内容が昆虫のことだからか、私はどうしても、途中、眠くなって眠くなって(笑)。
前の席の男の子なんかは、こちらを振り返って隠れたり出たりとごそごそ
遊んだり、机に突っ伏したり。
それでちらっと隣を見ると、うちの子も、なんか、空を仰いでいる(笑)。
ありゃ~。講演時間も1時間半だし、集中力も持たないよなぁ~。
とか思っていたら、
終わった後、子が、自ら、
先生が紹介してくれた本の中に、見たい本があった。
と言ってきたので驚いた。
おお!それなら!と、さっそくその本を借りた。
帰る時に子にたずねてみたら、
子は、先生の講演の内容を、きちんと聴いていた。
そして、私以上に、しっかり理解していた!!
曲がりなりにも、もと昆虫博士というニックネームで呼ばれていただけのことはある。
マニアックな昆虫の話も、理解して私に説明してくれたし、
講演の内容が、とても面白かったと言っていた。
ね・寝てたんじゃなかった???って聞いたら、
首が痛かったから上を向いていただけ。と。
あぁ、この子は、大丈夫なのだ、と思った。
ここ近々、不安になって揺れていたけれど、
自分の興味のあることには、ちゃんと取り組めるし、
やはり、解説が上手なんだ。
私には無い能力を持っている。
子が読みたいと思える本に出逢えたのも、
すごい収穫だ。
来てよかったと、すごく思った。
何よりも、本物の昆虫博士が、昆虫博士になるまで、
どれだけマニアックに昆虫が好きで、どんなことをして来られたか、
ずっと知りたかったことを教えてもらえたのが、
とてもよかった。
先生が、昆虫にはまっていかれる過程で、どれだけの本が貢献していたのか、
そして、それらの本を、先生が、どれだけお好きなのか、
とても伝わってきた。
本を紹介しながら、先生が、その内容を少し読んでは、
先生自身が数分読みふけってしまって、
講座が何度が途切れそうになるくらいだった。
「好き」の熱意って、すごいなと思ったし、
学び、って、こういうことだと思った。
本当に好きだから、夢中になってやってしまう。
本当に好きだから、この文献を読みたいから、
ニガテなドイツ語でも、頑張って読もうとしたし、読みたくて読んだ。
1冊10万円する本でも、手に入れるのが困難な本でも、
手に入れるために色んな努力や工夫をしてきた。
それを語る時の先生の嬉しそうな顔。
自然科学の分野なんて、金が稼げないからやめろ、と父親に言われても、
自分の夢を貫き通した先生。
好きなことをやるって、こういうことなんだなぁと、
この先生を見ているといつも思う。
この講座を途中で抜けるかどうしようかと思っていたけれど、
結局、こちらの方を最後まで聴いて、
佐藤ママの講演の方は、遅れてから行くことにした。
(つづく)
続き